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見た事、聞いたこと、思ったことのメモ。

経産省主催の「イノベーション・起業の新たな展開」シンポジウムに参加してきました①

1月25日に行われた「イノベーション・起業の新たな展開」シンポジウムに参加してきました。
主催は経済産業省、実行委員会に米国国務省日本ベンチャー学会スタンフォード大学東京大学産学連携本部、日本貿易新興機構(JETRO)など。

アントレプレナーシップ」や「ベンチャー」をキーワードにゲストによる講演とパネルディスカッションが行われました。

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全体的に黒い。ショッキングピンクのカーディガンを着ていったのは大きな間違いでした。


■■1.基調講演「日米におけるベンチャービジネスの成長促進」■■

まずは基調講演。テーマは「日米におけるベンチャービジネスの成長促進」。
スピーカーは田中良和さん(株式会社グリー 代表取締役)、ロヒト・シュクラ(Larta Institute社 CEO)さん。

まずは田中良和さんのお話サマリー

日本で働くということと、ベンチャーの世界の乖離

どうせ働くのであれば、世の中を変えることをしたい、いつか日本でもインターネット時代が来ると考えて始めた。
就職活動をして、ソニーに入り、楽天に転職した。ソニー時代、上司に呼び出されて「10年ぐらい頑張って35歳ぐらいには一人前になれるから」と説教をされた。当時、35歳で一人前はアグレッシブな方で、このような考え方はあたり前のことだったが、自分は25歳ぐらいから一人前と思っていたので自分の社会人のイメージとは違っていることに驚いた。
ベンチャーの世界と日本で働くということには大きな乖離があった。自分の生き方とは違うと思った。そのような経緯があり、縁があってインターネットベンチャーの楽天に転職した。インターネットのベンチャー企業は社会に影響を与えるという意味で満足のいく仕事だと思っていた。

成長する会社を体験

非常に大きかったのは、成長する会社というのを体験できたということ。GDPも横ばいな今、日本で成長している会社は少ないので、日本で働くということは多くの人にとって下がるということ。成長する会社がわからなければ、成長の仕方や魅力がわからない。体験するのとしないのでは大きな違いがある。

グリーの発端

インターネットで何かを動かし、世界を変えるということに興味があった。最初はボランティアでサービスを運営し始めた。
ユーザーから、「田中さんが死んだらこのサービスはどうなるんですか?」とクレームがきた。当時25とか。25年間生きてきてこんなに多くの人に影響を与えたことはあったのか、10万人の人に影響を与えることができるのは尊いと思った。そして、大きなサービスにしようと思って会社を作った。
モバイルに進出して大きく伸びた。規模は全世界の中でもソーシャルゲームビジネスの中で最大の利益規模である。日本からでも世界で通用するトップ企業がつくれるということを証明したかった。
アメリカを中心に世界にオフィスを作って、グローバルオペレ—ションを行っている。10億人が利用するサービスを作る、そういう会社になりたい。それくらい社会を変えるということを実現したい。

次に、ロヒト・シュクラさんのお話サマリー。と言いたいところですが、彼のお話はオールイングリッシュだったのでレポートできませんorz

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本当はこの機器で同時通訳が聞けるそうなのですが、うっかりとらずに席まできてしまっていたのです。その上、2階から1階にペットボトルを2回落下させて騒音をたてるという失態(大迷惑)をしていたので、とても講演中に席をたてませんでした。。。


■■2.パネルディスカッション「アントレプレナーシップの新潮流」■■

そして次はパネルディスカッション、テーマは「アントレプレナーシップの新潮流」。
モデレーターは東大教授の各務茂夫さん、パネリストはモルフォの平賀督基さん、ネットイヤーグループの石黒不二代さん、Acucelaの窪田良さん。
Quality Electrodynamicsの藤田裕之さんも登壇の予定でしたが、ホワイトハウスへの招聘があり、急遽欠席とのことです。

ー自己紹介と問題提起を

平賀さん:スマホ、携帯の画像処理のソフトウェア開発を行っている。
問題提起としては、理科系の人(エンジニアなどの技術的なバックグラウンドがある方)など、若い人に企業してもらいたい。

石黒さん:デジタルマーケティングで企業を支援している。シリコンバレーで会社を立ち上げた経験から日本にないものを考えてみた。
インターネットの素晴らしさや企業環境がわかった。また、起業の社会インフラが違った。スタンフォードでは起業する人が一番偉く、日本のように白い目でみられることもなかった。リスクをとらないから起業をした。起業をすれば、戦う相手は市場やライバルなので、政治家などの実態のないものと戦うよりもリスクは少ないと思う。女性の起業家はファッションや美容が多かったが、メインストリームでやりたかった。ITで起業するという自分の夢をかなえた。女性ももっとITで起業を!

  • 日本にたりないもの

起業家精神、ベンチャーキャピタルの成熟度、新興市場、資金調達力、失敗・スタートアップに有利な法律がない。アメリカでの起業成功者は、「新しくユニークなアイデアがあったから成功した」だったが、「アイデアは普通だが、やり方が良かったから成功した」になった。起業は学べるもの、学問である。アートからサイエンスになった。

  • 資金調達力の差は大きく違う、VCに超差がある。

ITはプラットフォームを作る必要があるので、ものすごいお金がかかる。その調達は日本ではできない。

窪田さん:自分を違った環境においた時に、自分の成長がすごくあった。研究医から起業家になった時など。新しいものを手に入れるためには、今もっているものを手放さないとつかめない。新しい視野や世界が広がっていい経験になった。日本人の援助のもとにアメリカという環境でやった。
アメリカで実感したのは、どういう問題を解くのか、ということを追求する。お金と時間をかけて解き、価値のある課題なのかというこことをよく考えることで、効率の良いイノベーションが生まれる。
いろいろな考えをもった人をどのように共存させるか。多様性をいかに束ねていくか。

ー起業してイノベーションに繋げるときのプロセスで一番苦労したことや考えたことは?

平賀さん:大学院から博士課程へ進んで、大手メーカーの研究所に就職がほぼほぼ一般的な道筋であった。大学の中で閉じる、アカデミアの世界で閉じるというよりは実際の製品を作っていきたいというモチベーションが高かった。実用のところにいかないとサイエンスは意味のない物。私のおかれた環境が実用にするのにふさわしい環境であった。すばらしい研究をやっている人はたくさんいるが、実用という視点で考えていない人もいる。
うまくビジネス事業に繋げている人とマッチングすれば、需要があるのではないか。眠っているものがあるんじゃないか。

窪田さん:バイオ法、必然的にワシントンで起業した。アメリカでなければなし得なかった。一番大きな制度は、人材の確保。必要な能力をもった人が必要な時に好きなだけ。ベンチャーは大企業ができないことのブレイクスルー。アメリカは、世界中の優秀な人材が集まってきている。

石黒さん:マーケッター、プロデューサーが必要。アメリカにはこういう人たちがいる。
石黒さんはエンジニア好きだけどできないので、そのズレを直す人がアメリカにはたくさいる。
日本にはそのようなマーケティング技術がある人があまりいない。繋ぐところの人がかけている。エンジニアとマーケターのつながる会とかもっとあった方がいい。
中央研究所は技術こてこて。パナソニックの検索エンジン、新聞の全文検索に使ってる。それをヤフーが買っていった。ヤフーは世界中のものを検索するのに使う。ビジネスモデルが違う。日本にそういう人がかけている。ベンチャーが成功するところにひとつかけてる要素かなと思う。

ーリスクに対しての見方

窪田さん:アメリカはリスクをとることを推奨する。社会全体がリスクをとっている人に暖かいので、喜んでとれる。失うものはそんなにない。失敗の仕方も無計画な失敗は受け入れられないが、戦略的にやってきた失敗には惜しみなき賞賛の2ndチャレンジが待っている。

平賀さん:リスクに対する感受性が強くないので、失敗にあまり恐れないという性格が影響しているのかもしれない。いろいろなアドバイスや助言、話の本質じゃないところで本質をとられるケースがまあまあある。

石黒さん:アメリカも起業家が優遇され始めたのはここ10年くらい。日本は今過渡期で、伸びしろがある。起業する人たちがもっと成功するように、憧れるような人がもっとでればいいし、職業として起業家を選ぶ人がもっとでれば日本はもっと成長すると思う。

(つづく)