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見た事、聞いたこと、思ったことのメモ。

KDDIの情報通信技術を活用したCSR〜JICAのセミナーに行ってきました

2月23日にJICA地球広場で行われたセミナーに研究会のお友達と参加してきました。そのメモ。
タイトルは、CSR関連セミナー「豊かなコミュニケーションによる国際社会の発展―情報通信技術を活用して、笑顔を―」

先日JICA広報の方のお話を聞く機会がありました。JICAもツイッター始め、ITを推進するイベントも増えてきたようです。公的機関が国際協力とソーシャル、ITなどの分野に乗り出すのはまだまだとても険しいみちのりがあるようだったので、大企業が行なう情報通信技術を活用したCSRというのはどんなものだろうと思って参加しました。

講師はKDDI財団 国際協力部 次長の内山 洋祐さん。KDDIが行っている国際協力活動についてお話していただきました。話を伺った限りでは、確かにやらないよりはやった方が良いかもしれないがKDDICSRは目的不在(あるいは薄い)という感じで突っ込みどころが多く、資金の使い方がもったいないと思いました。

KDDICSR

CSR活動というところでいろんな国際協力プロジェクトをおこしているが、企業なのでお金を設けなければいけないので、単に貢献するのではなくCSRの基本のところがある、と前置きがあった上でKDDIが行っているのは情報通信技術を活用するプロジェクトについて説明いただきました。

行っている内容は海外研修生受付、現職参加で青年海外協力隊(会社に籍を置いたまま協力隊にいける)、ODAのコンサル、通信インフラプロジェクト、カンボジアで学校を建てる・・・などなど。目的は昔は通信状況の改善、いまはデジタルデバイドの改善だそうです。途上国と先進国の間でもあるが、日本の中では格差が生じている。国際協力としては、途上国の中で情報を持つ人、持たない人、その格差をなくしたい、と考えているそうです。いろんなビジネスをやるなかで会社に国際協力のお金はさいてもらえない。いろいろな機関や仲間とやるプロジェクトで、「日本はあたえて向こうはもらう」ではなく、一緒になにかをやって成果をあげようというところで、国際機関からの支援を受けたり、開発途上国の人びととともにとりくんでいるとのこと。


2002年以降たくさんのプロジェクトをつくってきて、インターネットをなかなかひけないミクロネシアの島に会社の中古品のパソコンを入れて、サーバーを作って速度をあげてインターネットが使えるようにすること、インドネシアと太平洋の東西1000キロの回線をつなぐ、などの情報環境づくりなどがあるそうです。他にも視覚障害者のためのICT、大学やWiMaxとの連携など、フィリピン、カンボジアベトナムなどなどで様々な主体と協力して、たしかに多様なプロジェクトを行っているようでした。

質問と回答

デジタルデバイドの是正にとりくんでいるということだったが、途上国ではどのような情報が不足していて、どのような情報が求められているのか
ーいろいろな情報。まずはインターネット基盤を、インターネットやりたい人がいる。見れるということが大事。


援助する場所は調査をしてから実施しているのか
ー人とのつながりで。相手をみつけるのが難しい。そのうちに相手国からこういうことやりたいというのを言ってくるようになった。それを聞きつけた他の国から声がかかるようになった。モチベーションがないと続かないことだから。


現在実施されているのはアジアだが、その他の地域への活動の予定は。
ー今やっているのは、アジア太平洋を中心にやっている。アフリカは遠い。アフリカでのプロジェクトの費用を捻出するのが難しい。中近東はまだ到達していない。国際会議にでている。イランなどにいって、こういうことをやっているという報告をしていて、こういうことならできるのではという提案もしているが、資金などいろいろな障害がある。


事業を行ったときの自立発展性。KDDIの支援がなくなったときにどうやって引き継がれていくのか
ーお金と人をずっとつけていきたいが、わりきらなくてはいけない。単年度決算でやるので、1年ベースで考えなければいけない。最長で1年。課題としては、どういう風にやっていくか。
できるだけ相手国に頑張って欲しいが、お金を集めることや、人を勉強させるのも厳しいという状況。継続性を高めていくということ、何回かにわけて、新しいことをやろうという風に考えながらやっている。


・ネガティブなインパクトは発生したのか
ー中古パソコンなら何でもいいという考えがあるが、低機能のパソコンをもっていってもゴミになるだけ。そういう面も考えなければいけない。そういうのは難しいところ。あと、継続性の問題があるが、私たちがはずれても続けられるプロジェクトにしたい。けど難しい。


・現職参加制度について。現職参加制度を毎年とっているのか、どのような部からでているのか

ー昔から一応あったが、KDDIは借金がかなりあったので、国際協力も萎んでしまっていた。だんだん盛り上がってきた。具体的にはKDDIでJICAと覚え書きを結び、会社に籍をおいたまま2年間青年海外協力隊とかに派遣する。必ず春、秋に自立性にもとづいて募集している。受けたいという人がいると会社がバックアップする。必ずしもいつもあるわけではなく、やりたいという人がいるとだす。今のところ毎年数人。


・パソコン設置して、インターネット通じるようにするということだがインターネットの使用量は。
ーいつももめるところで、それはケースバイケース。ミクロネシアの場合は政府が払うということを決めた。どれくらいの値段かも交渉した。NGOがインターネット回線をもっているところはそこにお願いしたり、そこから一番近いアクセスポイントから無線LANをのばしたりして使う。現地側と使用者にあわせる。日本ではインターネット自体は安い。途上国は昔だと、普通のひとじゃ払えないような料金。そういうときはむこうの政府にお願い。安くなってくれば自分たちで払うでしょうし。インターネットよりパソコンの修理とかの方が問題。誰がするのかとか。KDDIは最初の1年間だけタッチして、あとはやってくれとしている。フィードバックを聞いて、交渉するときもある。


無線LANを設置したあとのメンテナンスや使い方の指導で一年間にどれくらい現地にいるのか
ーほとんど行かない。1年に一回とか。違うプロジェクトをたてながら。経験つんでくるとどこのメーカーの何が壊れるとかだいたいわかってくるので、カンボジアだとなるべく壊れない機械にするなど。フィードバックにもとづいて全部考えている。


デジタルディバイドの改善によって実質的な改善によって実質的な経済効果や生活の改善を数字で表せるのか
ーないです。今のところ数字的評価はでない。寂しいところ。


・経済的な効果をみこんで、これから頑張っていくという考えで行っているのか。

CSRの中の国際協力活動は、ボランティアではないので、その後に何かのビジネスになることではないといけない。ビジネスでいいことをやっても最後は人間関係なので、良い人間関係で貢献するとか、評価や結果が出ないものではだめ。日本のことをもっとしって自分のアイデンティティをもっともってやることである。


他の会社もやっていると思うが、一緒に活動していて、ここは取り込めるんじゃないかと他の会社から学んだことはないか。国内のことでも。
ーいろんなことでもこういうことできる。みんな笑顔になっているけど、通信ができて、インターネットができるから笑顔になったと思う。コミュニケーションができる。通信、情報はツールでしかない。それを使ってどうするか。それはいろんな会社がいろんなものをもっている。何でもありと思う。そういう意味ではどうしようかと思う。お互いできることをやる。実行すること。ビジネスとしてやれば別だが、そうでない場合は人間関係がないとだめ。


プロジェクトが1年ごとで単発ということだが、今後今までのプロジェクトを複合して何かやったりとかフィードバックをうけて同じところで発展させたり何かをやるという展望は。
ー何でもありだと思います。モチベーションがあって、一緒にやっていくという気持ちが大事だと思う。


確認、先ほど道具といいましたが、ちょっとラッキーなところは、情報通信という発展は早い。インターネットの機会は1年くらいで変えちゃう。そういう風なので、3年くらいたてば消えて次の何かをやりたいなということがあるので、新陳代謝があるので、10年くらい継続するという必要がないと思います。どう思いますか?
ー新しいプロジェクトにつなげていくという動きがだいじだと思います。使い方とかわからないこともあると思うんですけれども自分で考えるのが楽しいと思います。つくっているときも楽しいと思うので。


CSRとして国際協力活動をしている会社と共同で大きなプロジェクトをやる予定はあるのか
ー大きいプロジェクトはビジネスという形以外では考えていない。道具をつかっていろんな企業と一緒にやっていきたいが、競争会社とも一緒にやっていきたいとおもっている。
NGOも使っているし、一緒にやってる。企業は今大変でやりたいけど、お金をどうやって、人を出せるかというのが一番大変なところかと思う。KDDIは人も出している。そぜんぜんもしそういう企業があれば教えて頂ければ。


・ハブでつなぎなおすところ、アメリカなど他の国の会社とやっているのか。
ープロジェクトをやっている会社とはやっている。プロジェクトをやるとき、誰でも引きづりこむ。そういう方が一緒にやろうといってくれたり。どんどん一緒にやっている。


・予算規模はどれくらいか
ー担当じゃないので、正確かはわかりません。国際協力に対するというのはわからない。人件費をいれるとかなりのお金になる。ものに対してのお金はそんなに多くない。どこの企業にもできる程度。人件費と、他から資金を得ているので、そういうのをいれるとどうか。


・事後評価の評価基準は
ー評価についてはどっかの会社にたのんでいると思うが、ちょっとお答えできない。


・外部評価はJICAなどのものははいっているのか
ー外部評価、CSRの部署ではないので、わからない。


・プロジェクトがプロジェクトとしていろいろなところで行われて、その後でビジネスチャンスがみえてくるということがあるのでは。プロジェクトを通じてビジネスに繋がった事例は。
ーこれだけいろいろな人間関係があるので、直接じゃなくても、どこかの国にいってビジネスで誰かに会いたいというときにこの連携ですぐにアポイントをとることがだいたいの国でできる。
大きな会社なので、ビジネスという点ではしゃべれないということもありますが、ビジネスというのは、人間関係なので。
具体的な例ではモンゴルの大きな会社。モンゴルにコンサルティングなど事業計画など行っていたという関係もあって、資本をKDDIから出して、モンゴル大手の通信外車に発展するなどいくつか事例がある。


海外プロジェクトは少数精鋭部隊だと思うが、企業の日tおが途上国にいくときに求められるスキルや能力は。
ーこだわらない。


・日本での仕事と違うということは
ーそれはあります。モチベーションや個人のできることによって違う。いろんなレベルの差がある。一応情報通信先行の人だが、他のひとにお願いするのもいいかなと思うし、何をお願いするかによって能力がいかせるかなと思う。
最終的に何かしらメリットなり、笑顔ということ、できればみなさんいろいろやってくれるので、一番大きいのはモチベーションだと思う。


ーいろいろな話の中で質問たくさんあったが、つけたしを。他社との違いだが、CSRをやらせてもらえているということだけでもかなり違うと思う。KDDIは合併する前国際的な通信会社ということもあり、エンドtoエンドでの品質をあげなくてはいけないので、外国の品質をあげたく、長くやっていた。そのためかなりやらせてもらっている。国際評価は、国際協力みたいな活動は成果が1年2年ででてくるものではないが、長い目でみてくると変わってくる。うちも50年以上研修生を受け入れている。外国にいったりしても、何十年前にKDDIの研修をうけましたという社長や政府の偉い方もいる。KDDIの会社を説明していなくても知っていたりと、信頼などというかなりの財産を得られているのでは。海外展開する場合に昔の肥やしが役にやっていくのでは。