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見た事、聞いたこと、思ったことのメモ。

セックスワークサミット2013@歌舞伎町に参加しました

7月29日に開催されたセックスワークサミット2013@歌舞伎町に参加してきました。NPO法人ホワイトハンズさん主催です。

シノドスで紹介されていた記事で前回のセックスワークサミットに関心を持ったこと、自分のまわりには「風俗で働く」ということがあたり前に選択肢に入っている人、とんでもなく蔑視する人の両方がいて違和感を感じていたこと、とても重要で切り離せないものなのにどうして後ろ暗いものになってしまうのか、ということをもやもやっと考えていたので参加してきました。

セックスワークで稼ぐのは難しい?

テーマは『セックスワークで食う』 ~「裸になるだけでは、もう食えない時代」を、サバイバルするための方法~。

第一部では「職業としてのAV女優」著者の中村敦彦さん、SWASH要友紀子さんの講演。
中村敦彦さんの講演では主にデフレ化するセックスワークについて。容姿やスタイルによほど恵まれていないともはやセックスワークで稼ぐのは難しく、そもそもAVや風俗で採用してもらえない、仕事がとれないという現実があるということを話されました。

要友紀子さんの講演では、風俗嬢の仕事を安定させ、健康と安全を確保できるような当事者、経営者、社会、民間などそれぞれのステークホルダーからできることについての提案がありました。

■誰のため、なんのための議論なのか

第二部の「食う」ための、ケーススタディ分析は、これは誰のための議論でなんのために稼がなくてはならないのか、「稼ぐ」とはどういうことか、どうして「セックス」なのかが十分に定義されていないように思いました。わたしは以下のような疑問を溢れ返らせながらお話を聞いていました。


・現在セックスワークで従事している人がより安全に働くためなのか、これからセックスワークの世界に飛び込もうとしている人のためなのか、年齢が高くなってしまった女性が稼ぐためなのか?

・80年代に比べて相当デフレ化が進み、裸の価値(これは計れないけれど)に見合っていないとしても、ケーススタディを通してみると、普通のアルバイトよりは稼げる。では、「稼げる」とはどういうことなのか?何と比べているのか?

・どうしてセックスワークで稼がなくてはならないのか?セックスワークが稼げないのだったら、「どうしたらセックスワークで稼げるか」ではなくて、もっとリスクが少ない職業や、セックスワーク以外でどうやって稼ぐのかということを考えた方がいいのでは?

■困窮者対策とセックスワークを切り離す

第三部の質疑がとても参考になりました。「セックスワークが社会や行政が引き受けるべき困窮問題のセーフティネットとして考えられてしまっている」というところで少しストンと落ちました。

困窮問題のセーフティネットとして考えていると、風俗に関わりのない人から見て、だめな人たちが作っている世界に見えてしまう。困窮者対策とは分けて、セックスワークへの偏見やイメージを変えていくということが必要だという意見。また、歴史的な風俗に対する意識の変化についても話を伺えたのが勉強になりました。社会の変化、セックスワークの役割の変化やその原因を踏まえてどこにアプローチできるのかを考えてみたい。

性愛への期待値が非常に下がっている中で、心を閉じて接客して自分の体が消費されすり減っていく、抜け出したいけど抜け出せない場所ではなくて、誇りや志を持って働けて心を開いてサービスする、愛をイメージできるところへ導く風俗、という話も興味深かったです。

2月22日追記

シノドスにサミットでの要さんのお話の抄録がアップされていました。